スポーツバイク 人気ブランドランキング どのブランドを選ぶべき?
はじめに
今回の記事は、前回の記事で大反響のあった「【2020年度・最新版】スポーツバイク 人気ブランドランキング」の中から、見事、2020年、Googleにてもっとも検索されたスポーツバイクの人気ブランドランキングのトップ10のブランドについて、簡単な概要を書いていきたいと思います。どのブランドを選ぶか考えてる方は必見です。
どのブランドも、おそらくもう何千もの記事で紹介されているとは思いますが、ウィキペディアに載っている事を私なりに簡潔にまとめて、できるだけ短い文章で読者の皆様にお伝えできるよう書いていきます。それだけでは他のブログ記事と被ってしまう部分もあると思うので、各ブランドの日本での最近の近況や情勢などを、かなりマニアックな視点から伝えていけたらと思います。
キャンプ向きの自転車の情報については改めて少しづつ書いていきますので、興味がある方はまず、自転車という乗り物のブランドについて、まず理解を深めていただけたらと思います。
テーマは「キャンプ」×「バイシクル」です。
人気ブランドランキングの順位やスコアは上記の記事を参考にしてください。
1位 ジャイアント(英語表記:GIANT)
世界の自転車メーカーの中で一番の資金力を誇り、世界一の製造・販売台数を誇る台湾の自転車総合メーカーであるジャイアント。スポーツバイクを知らない人も聞いたことがあるかもしれませんが、5万円代で購入できるジャイアントの定番モデル「エスケープ」は日本においても、おそらく一番売れているクロスバイクです。
元々、台湾で養殖施設を営んでいたキング・リューが自然災害で壊滅的な被害を受け、自転車部品の製造を開始したのが始まりです。アメリカやヨーロッパの自転車メーカーが設計したフレームの製造や、完成車への組立て依頼を請け負い、下請け企業としてOEM生産を主力としていました。1980年代の不景気を受け、アメリカやヨーロッパメーカーからの受注量が大幅に減ったことで、自社ブランドの開発に着手します。そこで生まれたのがジャイアントのバイクです。1990年代には世界中の国々に代理店を展開し、販売チャンネルを広げます。2000年代に入ると、UCIワールドツアーに参戦するチームにも機材を供給し、世界のレースで結果を残したことで下請け企業としてのジャイアントから、世界のスポーツバイクメーカーへと一躍躍り出ました。
日本ではスポーツバイクがまだ今のように流行する前から、日本法人を設立していたこともあり、販売戦略として、大手量販店を中心に販売チャンネルを広げたことで、ブランディングに失敗し、ジャイアント=大衆車というイメージが先行してしまいました。しかし、ジャイアントは自転車の製造業として、自社ブランド以外で、今でも海外メーカーのOEM生産を続けていますし、世界で一番自転車を製造し、販売している会社でもあります。資金力も世界一ですが製造技術も世界トップレベルです。
最近はハイエンドモデルの取扱いが可能になるGPD(ジャイアントプレミアムディーラー)の新規募集も受け付けておらず、既存の取引先も年々、販売店も減らしている印象です。現在は、従来の大手量販店を中心にした販売手法から、直営店やフランチャイズ経営のジャイアントストアの展開を急速に拡大しており、日本でのマーケティング手法を新たに模索している状況です。このような取り組みによるブランディングに成功すれば、今後、ジャイアントブランドは日本でもトップに君臨し続ける可能性はあります。今後のジャイアントブランドの動向に注目です。
2位 スペシャライズド(英語表記:SPECIALIZED)
「Innovate or Die(革新を!さもなくば死を!)」という過激な社是が有名なアメリカのカリフォルニア州を拠点とするスペシャライズド。創業者のマイク・シンヤード氏がワーゲンバスを売ったお金でヨーロッパ旅行に出かけ、そこでチネリの創業者に米国への貿易を打診し、イタリアの自転車部品の輸入販売を始めたのをきっかけに創業したブランド。その際のイタリアの希少なパーツをスペシャルな(特別な)パーツと名付け、自身も特別なブランドであり続けるという意味から付けられたブランド名がスペシャライズドです。
世界で初めてマウンテンバイク「スタンプジャンパー」の大量生産に成功し、世界的な販売台数を記録したことで、一気にアメリカを代表するブランドに成長しました。今ではアメリカの3大ブランドの1つとして、ヨーロッパが主流だった自転車ブランドに新たな風を吹き込み、レースシーンにおいても圧倒的な強さを誇ります。自転車メーカーとして初めて本社敷地内にウィントンネルという風洞実験施設を35億円かけて建設し、開発、テスト、選手からのフィードバック、改善というPDCAサイクルを24時間繰り返せる環境にある世界唯一の自転車メーカーになります。
スペシャライズドのオフィスでは昼休憩の1時間の間に社員みんなでサイクリングに行くランチライドという習慣があり、これは全世界のスペシャライズド子会社で慣例の行事となっています。全世界の代理店を集めたプロダクト会議もまずサイクリングをすることろから始めるなど、自転車好きが24時間、四六時中、自転車のことを考え、自転車を開発した成果はコロナ禍におけるグランツールをはじめとした2020年の数々の世界大会のレースでスプリント、個人総合と、男女ともに圧倒的な力を見せつけたシーズンとなりました。
またその際に使用されたバイクが2020年7月に世界同時リリースされたNEW TARMAC SL7です。およそ3年ぶりにフルモデルチェンジを果たしたNEW TARMAC SL7は、それまでの軽量モデル、TARMAC(ターマック)と、世界のエアロロードの空力デザインの真髄となった伝説の名車、VENGE(ヴェンジ)の長所を合わせ持ち、軽量化とエアロという相容れない2つの特性を融合したオールラウンドエアロロードに生まれ変わり、他ブランドのフラグシップモデルの追随を許さず、スペシャライズド=世界一という称号を世界に知らしめたバイクとなりました。
バイクに限らず、ヘルメットやシューズなどのバイクギアの開発も幅広く手がけ、その中でもフラッグシップモデルにしか与えられない称号「S-WORKS」はプロチームに機材を供給するワークスチームの名前が冠として使われており、そのロゴは見る人全てを虜にする魅力を持っています。巷で言われる「憧れのS-WORKS」、限られたバイクやギアにしか与えられない称号をまとったとき、必ずあなたに多くの視線が集まること間違いなしです。
3位 トレック(英語表記:TREK)
スペシャライズドと並び、アメリカ3大ブランドの1つであるトレック
2012年アームストロング選手が選手時代、組織的にドーピングをしていたことが公になり、今までの勝利を剥奪、自転車業界からの永久追放とされてから、スポンサーとして二人三脚で成長してきたトレック
レースシーンにおいては昨今、目覚ましい活躍はないものの、日本でもトレック
在庫の安定した供給や、子供車から、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイクなど、様々な自転車のジャンルを販売しており、パーツに関してはボントレガーというブランドでホイールや各ギアを販売しています。スペシャライズドに比べ、限定モデルなどのリリースは少ないものの、プロジェクトワンというフレームの色やロゴの色など、自分の好きなカラーリングでオーダーし、世界で自分だけのバイクを作るサービスを唯一展開しています。
4位 ビアンキ(英語表記:Bianchi)
世界最古の自転車メーカーであるイタリアのビアンキ
当時の自転車職人が毎日、イタリアの空を見ながら作業しており、日々のイタリアの空の色をフレームに塗っていたのがチェレステカラーの始まりと言われています。(他にも諸説あり)今では艶有りのチェレステや、艶消しのマット調のチェレステ、昨今のカーボン塗装技術を駆使したオイルスリック調のチェレステカラー「サマータイム」など、今でもチェレステを中心としたカラーリングを展開しています。黒ベースやその他の色がベースの車体でもビアンキのバイクには必ずどこかにチェレステカラーが差し色として入っております。
ビアンキ
日本でファッションとしてのビアンキ
5位 キャノンデール(英語表記:Cannondale)
アメリカ3大ブランドの1つ「キャノンデール
また創業前から自転車業界に技術革新と流通改革を行うことを目標にしていた創業者であるジョー・モンゴメリーは、アルミ素材に可能性を感じていたこともあり、アルミでのフレーム製造、そして中間卸売業者を排除するという新しい製造技術と商流の変革をもたらします。メーカーから販売店に直接自転車を卸すことで、コストダウンを図り、良質の製品を安くユーザーに届けるという、今では日本でも当たり前の商流を世界で初めて実施したのもキャノンデールでした。カーボンキラーとして有名になったCAADシリーズは、そんな創業者のアルミ素材に賭ける思いから生まれたバイクです。
1990年代に過去最高益を更新し、キャノンデール
エントリーモデルでは手の届きやすい、カーボンキラーのCAADシリーズを初めSYSTEM SIX、SUPERSIX、TOPSTONE LEFTYなど、次々と斬新なバイクを生み出していきますが、2018年日本のマーケットでは、ロードバイクの需要が頭打ちとなり、在庫処分のためのキャノンデール
2021年現在ではコロナ禍の影響により自転車の需要が爆発的に拡大したことで、キャノンデール
6位 キャニオン(英語表記:CANYON)
1985年にアーノルド兄弟がドイツで創業、当初は自転車パーツの販売を行っており1990年代後半には、他ブランドに先駆けてインターネットを介したダイレクトセールスを行います。自転車メーカーとして設立したのは2002年で、スポーツバイク業界では比較的若い新参メーカーでもあります。2000年代初頭に、軽量バイクや今では主流のディスクブレーキシステムを搭載したバイクをいち早く開発し、2006年にUCIプロツアーに認可されたことで、徐々にレースに参戦し知名度をあげていきます。
2014年に登場したAeroadはツールドフランスのステージ優勝から、数々のクラシックレースでチームとキャニオン
キャニオン
キャニオン
- 通常の商流 = 【海外メーカー】→【輸入代理店】→【販売店(自転車屋さん)】→【お客様】
- キャニオンの商流 = 【キャニオン】 →【お客様】
7位 ルック(英語表記:LOOK)
元々はスキー用品の製造を手掛けていた会社ですが、1984年、スキー板とスキーブーツを繋ぐビンディング技術を応用し、自転車業界で初めてペダルとシューズを繋ぐ、ビンディングペダルを開発します。足とペダルを物理的に繋ぐことで、ペダリング時のパワーロスをなくし、効率の良いペダリングを実現しました。ルック
その後、カーボンフレームの開発に着手し、2000年にはツールドフランスで3年連続の山岳賞という偉業を成し遂げ、自転車メーカーとして確固たる地位を築いたルックは、タイムと並んで、フランスを代表するブランドへと成長します。トラックレース用のL96フレームではロンドンオリンピックで13個のメダルを獲得するなど、フレームの成形技術は世界トップであることを証明しました。
ハイエンドカーボンのモデルしかないにも関わらず、日本では弱虫ペダルの人気キャラクター、真波くんが乗っていることもあり、2010年代に一躍人気のブランドになりました。漫画でもヒルクライムが得意な真波くんのバイクに抜擢されているため、やはり2000年にツールドフランスの山岳賞を3連覇した印象が強く、LOOK=ヒルクライムのイメージは先行していると思います。最新のエアロロードバイク795ブレードを初め、ヒルクライム向きの785、エンデューロ向けの765と、乗り手によって選べるバイクの要所は押さえており、「LOOK」というロゴだけでハイエンドバイクとわかるのも、乗り手にとっては嬉しい限りです。
ルック
8位 ピナレロ(英語表記:PINARELLO)
洗練された美しい曲線のエアロ形状に、唯一無二のデザインである左右非対称フレーム、波打つオンダフォークという斬新な最新の技術を取り入れながらも、イタリアンデザインの伝統を現代も変わらずに継承するイタリアの名門ブランド「ピナレロ
2021年現在はペダルバイクではロードバイクのみの開発に注力し、ピナレロ
開発過程による特徴は、現在、多くのメーカーがスーパーコンピューターにて流体力学の観点から空力特性や軽量化、剛性などを考えながらフレームを設計するのに対し、ピナレロ
デザイナーが設計したフレームを作るという昔なら当たり前だった手法は、コンピューターが発展した現代では珍しいかもしれません。それでもピナレロ
日本ではピナレロ
9位 メリダ(英語表記:MERIDA)
ジャイアントマニュファクチャリングに次ぐ、台湾第2位の自転車メーカーであるメリダ
自社ブランドの開発はドイツに拠点をおき、台湾はあくまで製造することに集約したことで、安定した物流と高度な品質を保つ世界の自転車工場となっています。アメリカのスペシャライズドが倒産の危機に陥った時はメリダインダストリーが資本援助を行い、それでも株式の過半数は取得しようとせず、スペシャライズドの独自の開発力、ブランド力を活かすための方策をとったことから、今でも、スペシャライズドの生産を請け負い、自社ブランドのメリダと合わせて、業績を拡大しております。
元々レースシーンにおいては、2000年代にマウンテンバイクのレースで世界を獲ったことから、ロードバイクよりマウンテンバイクで世界的に有名なブランドとなりました。その後、2012年に日本のプロチームの発足、2013年にはUCIのワールドツアーに参戦することが発表され、本格的にロードバイクのレースシーンに参入を果たします。鍛え抜かれた製造技術とマウンテンバイクで培ったノウハウで、今後、ロードバイクシーンにおいても世界での活躍が期待されています。
日本では、現役最速と言われる新城幸也選手が2016年、メリダ
2021年モデルではF1のマクラーレンがスポンサーに加わったことで、マクラーレンカラーが発売され、またオールラウンドエアロロードであるリアクトも第四世代と進化し、今後、レースシーンでの活躍が見られれば、継続して人気もあがっていくと思われます。
10位 ファクター(英語表記:FACTOR)
2007年にレーシングカー、航空宇宙産業に関わるイギリスのエンジニアリング会社「bf1systems」から誕生したUCIワールドツアーに機材供給しているメーカーの中では一番若い新参ブランドです。2017年からUCIプロチームに機材を供給したことで、一躍有名になり、またもともとがレーシングカーや航空宇宙産業に関わる会社から派生したブランドであるため、その蓄積されたレーシング向けの開発や航空技術の応用は、自転車業界にも素早く対応でき、設立からわずか10年という短い月日で、世界の第一線に機材を供給しています。
ツールドフランスにも出場機会が増えたことで、2020年ごろから、日本でも徐々に知名度をあげてきましたが、日本のマーケットでは完成車(フレーム、タイヤ、ホイール、ハンドルなど自転車としてすぐに乗れる状態)での販売がなく、フレームセットのみの販売になります。フレームはバラでいちから組み立てる必要があるため、すべてのパーツを自分好みにカスタマイズは可能ですが、その分、それぞれのパーツは単品で購入するため、高くなります。
「なぜ、完成車はこんなに安いのか?」はまた改めて記事にするとして、完成車のラインナップがないというのは、日本のマーケットにとってはネックかなと思います。それでも人気ランキングで10位に入賞しているので、このブランドのポテンシャルは相当なものだと思います。ファクター
まとめ
今回は、前回、大好評だった「【2020年度・最新版】スポーツバイク 人気ブランドランキング」の記事から、人気ブランドランキング、トップ10に入賞した各ブランド(メーカー)の概要と、現在の日本のマーケットでの立ち位置のような角度から、それぞれ書かせていただきました。アクセス数をみると、前回のスポーツバイクの人気ブランドランキングは、ぐいぐいアクセス数が伸びていて、肝心のキャンプブログを大幅に振り切ってました(笑)。
それはそれで悲しい気持ちになりましたが、これからもキャンプのブログを中心に、たまに趣味のライド、バイシクルの記事も少しづつ書いていけたらと思っています。趣味といえど、ここまでマーケットを監視してたら、もはや職業に近いような気もしますけどね。この記事も、前回の記事もお友達とかで自転車の購入を検討している方がいたら、シェアしていただけるとありがたいです。
次のスポーツバイク、人気ブランドランキングは必然的に、来年2022年、年が明けてからになると思いますが、その前にどこかの段階で、人気ブランドランキングの集計方法を変えて、例えば部分一致も含めた中間集計数を出すなどで、スポーツバイク人気ブランドランキング「なう」みたいな企画も感がています。それまでぜひ、楽しみにしていただけたらと思います。
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